【Steve’s Bar連載第8回】【夜空に輝く星の数だけ感動を】
ゲスト:佐々木康元氏、(株)スターコネクション(Star Connection Inc.)代表取締役社長
聞き手:スティーブ・モリヤマ
ア メフトと不可分の関係にある佐々木康元氏。学生時代は日大アメリカンフットボール部フェニックスで主将を務め、梶山龍誠氏をはじめとする多数のスター選手の力をまとめて日本一に導いた後、大手広告代理店の東急エージェンシーに入社。営業担当として大活躍されました。様々な案件を手掛けるなか、スポーツ関連事業も手掛け、スポーツ流通や複数のプロゴルフトーナメントなども担当されました。
一方、激務の合間、社会人リーグのアサヒビールシルバースターの現役選手として、水曜・土曜・日曜の晩にはチームで集まり、それ以外の日の隙間時間に自主トレに励み、99年には主将としてチームを日本一に導きました。また、第1回および第2 回アメリカンフットボールW杯では、日本代表主将として2連覇を果たしています。さらに、第3回アメリカンフットボールW杯では、招致委員として日本に大会を招致し、マーケティング統括として、大会を成功に導きました。そういった多様なご経験を活かし、2010年秋にスターコネクションを起業されています。
佐々木氏 どうもありがとうございます。
―― 激務の中、2013年-2014年にはアサヒビールシルバースターGM兼ヘッドコーチを務められ、現在はシニアディレクターとしてチームを見守っていらっしゃいます。ところで、日本におけるアメフトの競技人口ってどのくらいなのでしょうか。
佐々木氏 15000人程度といわれています。
―― ラグビーは?
佐々木氏 ラグビーは15万から20万人はいますから、10倍以上です。まだまだアメフトはマイナーなのです。
―― そうなんですね。ということは、まだまだ伸びる糊代があるということでしょう。さて、まずは貴社名(スターコネクション)の由来を教えていただけますか。
佐々木氏 私どもの企業理念のキーワードは「輝き」です。スポーツとコミュニケーションの分野において、ネットワークとアイデアで、パートナーとなる企業や人のつながりを創り、輝かせることにあります。新たな価値を創りだし、多くの人々のココロを揺さぶり、共感をうみだし、スポーツ、企業、消費者それぞれのつながりをつくるのです。そして、そのつながりを、輝かせていく点にあります。一方で、多種多様な才能ある人達とお仕事をしながら、社員は自分自身の才能を磨き、自分たちだけでなく、社外の仲間も輝かせていくのです。そんな「つながり」を、星の数ほどつくっていきたい。それが「スターコネクション」という社名の由来です。
―― なるほど、とても縁起の良い、素敵なお名前ですね。具体的にはどういうお仕事をされているのでしょうか。
佐々木氏 はい。大きく分けて、スポーツ事業とコミュニケーション事業の二つに分けられます。まず、スポーツ事業ですが、リーグ/チーム/スポーツマネジメント会社のコンサルティング、スポーツコンテンツを活用する企業のコンサルティング、マーケティング/コミュニケーション/プロモーションのプランニング、アスリートのキャスティング、リーグ/チーム/大会/イベント/選手のスポンサーセールスなど多岐にわたります。詳細は弊社のウェブサイトをご覧ください。http://www.starconnection.co.jp/
たとえば、直近では、女子ゴルフ選手のマネジメント会社とアライアンスを組んで、我々のもつ大手広告代理店との関係性を用いて、彼らの営業代行等をしております。また、アメフトでいうと、第49回スーパーボウルのラジオ放映権(J-WAVE)の取得支援もいたしました。
それから、一緒に会社を切り盛りしている、相方の奥田昌史と共に、スポーツリーグ・連盟・団体の中長期経営戦略/営業戦略策定支援もしています。例えば、オリンピックに向けて、スポーツ団体の新しい収入源を生み出すためのお手伝いもしています。ファンを増やし、企業がスポンサーとして資金提供し、より多くの人たちに当該スポーツの面白さをわかってもらうようにする仕事です。そうした、スポーツ側と企業側の両方にメリットを生み出すことをつなぎあわせて、スポンサードの企画策定を行っています。
―― 新しい「うねり」を創りだすお仕事ですね。
佐々木氏 はい。日本のスポーツはまだまだ成長できると思います。また、健康や教育、グローバル化や地域などの分野において貢献できると思います。そんな大きな視点にたって、うねりを創り出していきたいと思っています。
―― なるほど、よくわかりました。一方で、コミュニケーション事業というのは、どういうお仕事なのでしょうか。
佐々木氏 僕のアメフトの仲間は、特に広告業界に多く、彼らに支えてもらっています。大手代理店のお手伝いが中心で、コミュニケーション・デザイン/クロスメディアプランニング、広告/セールスプロモーション/PR/デジタルのプランニングおよび制作、ダイレクトマーケティング/CRMのプランニングおよび制作、ロゴデザインやグッズのデザインおよび制作、各種コンテンツのプロデュースなどです。
―― あれだけ厳しく、かつ不条理な世界を若い時に経験した人は、どこに行ってもやっていけるでしょうね。トラウマが消えない場合もありそうですが(笑)。
佐々木氏 ははは、まさに、トラウマはまだ残ってますが、確かに社会にでてからも、あの時の経験は役立っています。しかも、企業社会ではお金がからんでくるので、より不条理な場合もありますが、怖い思いをすることはありませんし(笑)、トラブルを未然に防ぐ勘みたいなものは、もしかするとあの頃に培われたものがベースになっているのかもしれません。
―― さて、オリンピックに向けて、新国立競技場の建設費用など、いろいろな問題が起きていますが、 オリンピックってゴールではなくて、「再出発点」だと思うんです。戦後、野球を中心にこの国でもスポーツ観戦がお茶の間の娯楽として定着しましたが、これからまた新たなステージに向かう時期を迎えているのではないでしょうか。2020年に向かってエネルギーを集約していき、オリンピック開催を起爆剤として、そこから人々が新しい形でスポーツと向き合っていく新しい時代の幕開けです。
佐々木氏 なるほど、同感です。
―― ところで、今でも日本にはなぜか「スポーツでお金を話をするのは不浄だ」と言う人が少なくないのですが、あれはどうしてなのでしょう。
佐々木氏 やはり、日本の場合、スポーツというと高校野球に象徴される根性論的な世界を「美しいもの」と考える人が少なくないのでしょう。それはそれで魅力的なのですが、一部のプロ選手を除くと、「スポーツ=純粋な行為」「お金=不浄」という公式で括ってしまう、日本独特の価値観が見え隠れしますよね。
―― なるほど、そうかもしれませんね。ただ、そう言っていては、議論は進みません。金は天下のまわり物であり、お金を社会全体に循環させる仕組みの一つとしてスポーツを位置付けてみてもいいのではないでしょうか。
佐々木氏 ええ、その結果、地域社会が潤い、子供も大人も幸せになる。もはや日本は高度成長期のエコノミックアニマルではありません。「成熟した大人の国」として、人生の質、幸せの質を追求していく段階に入っており、スポーツはそれを後押ししてくれるとおもうのです。アメリカやヨーロッパと比べると、日本のスポーツ文化はまだまだ伸びる糊代があります。
―― 同感です。英米を中心にAirbnbとかUberなどの共有型経済(シェアリング・エコノミー)というPtoPビジネスが栄えてきていますが、僕はスポーツは「感動を共有する経済」、つまり「共感型経済」だと思うのです。「共感」って、気持ちが通い合った人間同士の行為ですよね。これから、人工知能をもったロボットが世界経済で大きな位置を示す時代を迎えます。シンギュラリティ(singularity)、つまり人間の脳をロボット(人工知能)が超える世界が間近に迫っています。超えるどころか、IQでいったら、どんなに頭の良い人でもIQ200程度しかないところを、IQ1万とかIQ100万とかいうロボットが跋扈する世界がくるわけです。これって、正直、わたしは怖い。巨匠・松本零士氏が『銀河鉄道999』で描いた世界、つまり機械人間から逃げながらひっそり暮らす人間たちの世界が見え隠れします。
佐々木氏 たしかに不気味ですよね。
―― ええ。しかし、どんなに世界が機械化しても、やはり最後は血の通い合った人間同士の本能的なつながり欲求、闘争欲求、そして共感欲求という部分は、人工知能には不可侵ではないか、いや不可侵であるべきだ、とわたしは信じたいのです。その意味で、スポーツはそういう「人間同士の共感・ワクワク感」を確認し合う場として、これからの高度機械化社会・人工知能社会において、極めて重要な役割を果たすと思うのです。
佐々木氏 共感します。だからこそ我々「スター・コネクション」の存在意義があるのです。どんなに世の中が機械化しようとも、人工知能至上主義になろうとも、血の通った、熱意ある人間同士の輝きと志をずっと伝えていきたいのです。
ちなみに、相方の奥田昌史は、当初スポーツマネジメントを学術的に究めようと切磋琢磨していた研究者だったのですが、途中から理論と実践の両立に興味を持ち、弊社に参画いたしました。そういう知恵者も弊社にはおりますので、同志たちとともに人間の人間たる所以(ゆえん)である、ワクワク感と感動を、後世に伝えていきたいと思います。
―― 素晴らしいですね。アメフトもまだまだ伸びる糊代がありそうです。二人で力をあわせて、新しいプロチームを創りましょう。
佐々木氏:是非是非(笑)。
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