「フィンランドと同性婚、トーベ・ヤンソンと愛そして自由」(北欧シリーズその3)
つい先日、フィンランドで同性間の結婚が可能になる法律の投票が2014年11月29日に国会で行われ、105票が賛成、92票が反対、という接戦の末、同性婚法が可決されました。
欧州の中で、同性婚が可能な国として、ほかの北欧諸国やフランス、ベルギーに続いて12番目となります。フィンランド自体は2002年から、同性カップルに異性間結婚と同様の権利を認めるパートナーシップ制度を認めていますが、北欧5カ国の中では同性婚の法制化が遅れています。都市部に比べて保守的な地方やキリスト教徒の多い地域で同性婚への抵抗があったとされていますし、言語的に他の北欧4カ国と違うということも影響したかもしれません。
メディアによれば、子どもは父親と母親を持つべきとの価値観を持つ人達の反対が強かったそうですが、この法案自体がもともと国民である有権者たちが法律制定を発案し、国会に提出され、成立したというまさに民主主義のモデル(!)のようなケースなのです。
現首相のアレクサンダー・ストゥブ氏も「フィンランドは差別のない、人権が守られ、ふたりの大人が性的指向にかかわらず結婚できる社会になるべきだ」と開票前に発言をしました。首相が国会の立法に関して発言するのはフィンランドでは異例とのことです。法案の可決を受け「議会が婚姻の平等を認めたことをうれしく思う」とコメントしました。
今年2014年は、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年の年でもあります。
そのような記念の年にこの法案が可決されたことは私は偶然のような気がしません。
トーベも同性愛者であり、長年のパートナーは女性でした。
当時、同性愛は犯罪であり、病気とされ、牢屋に入れられることもあったようですが、トーべは同性愛を隠しませんでした。そして、同性のパートナーと公の場に現れた最初の人でもあります。80年代になって、同性愛は犯罪ではなくなりましたがまだ古い考えが当たり前とされる頃に、毎年著名人が招かれる大統領が主催の独立記念日のパーティーに二人で堂々と現れたのです。
なんと勇敢なことでしょう。
時間はかかってしまいましたが、祖国のこのような出来事に、愛と自由に生きたトーベもきっと喜んでいることと思います。
踊ることが大好きだったトーベ。
愛、そして自由バンザイ!と叫びながらくるくる踊るトーベの姿が見えるようです。
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