編集長ナガヤマの読書日記:「日本人はるかな旅(2001年放送)」NHK製作の巻
某日視聴。小生は毎週海にでかける用事があって車中往復2:30の間、NHKオンデマンドサービスに加入し、そこから気になる番組を視聴することにしている。行き帰りで50分番組だったら3つ程度を視聴できるので大変有意義な時間となっている。因みに上記サービスは2種類あって小生は特選ライブラリーというサービスを利用しているが、過去番組の視聴が可能だ。30年ほど前の作品もあるので、このサービスに残っているという事は選び抜かれた確かな作品なのだと勝手に思い込むことにしている。そして小生はNHKとは全く関係ない。
さて、本作品は5部構成で全体で250分という大作。タイトル通りに我々日本人のルーツを探るドキュメンタリー。定期的に歴史ミステリー的な仕立てで、邪馬台国の謎的な番組が製作されるが、いつも物足りない部分が残って段々と視聴しなくなってしまうのだが、この作品は根っこの部分からテーマを捉えていてスッキリする。
ネタバレに注意しながら進めていくが、まず日本列島に人の痕跡が見つかるのは3万年前から2万年前→その時期に氷河期があって海面が現在より100m高かった→その頃に日本列島に渡ってきた人達がいた→その人達、すなわち縄文人のDNA分析(n=29)をした結果、韓国人系1人、台湾人系1人、タイ人系1人、シベリアのブリアート人系が17人という結果が出た(残りの9サンプルはどういう結果だったのか)、、という滑り出しから始まる。そのまま番組はブリアート共和国の2万3千年前の遺跡を訪ね、そこから出土した特徴ある石器と同じ形のものが北海道の遺跡から見つかった事を関連づける。そして縄文人の祖先は2万年前の最寒冷期を逃れるために南下するマンモスを追ってきた人々ではないかと推測する。確かに現在のブリアートの人々の映像を眺めてみると、我々とそっくりな人達がたくさんいて、うっすらと納得できる。
そして北海道から入ってきたご先祖達は日本列島に瞬く間に広がり、縄文人になる→同時に平均気温が50年で7度上昇するような急激な温暖化が始まり日本列島は大陸から切り離される→1万2千年前に南方から黒潮にのってやってきた人達と融合→6千年前に稲作が始まる→2千年前前後に大陸から渡来人がやってきて争いがはじまる→そして次第に融合して出雲=倭と大和=日本の世界へ→日本人がはじまった、、という事を様々な根拠とともに作品は展開していく。それに伴う映像の説得性は実際に視聴しなければ肚に落ちないかもしれない。
それにしても2つ驚いたのは稲作が6千年前に日本列島で行われていた事と、いわゆる縄文時代が2万年弱続いたという事だ。米作は中国の河姆渡遺跡から7千年前頃はじまったとされているので、割合早い時期に日本列島にやってきた事になる。河姆渡の人達は同時に漁労民だったので、古代の人の地図は我々が思っているよりもスケールは大きかったのかもしれないと感じた。
そして2万年続いた縄文時代。2万年ということは200世紀(!)で半分としても100世紀。この膨大な時間、ご先祖達はどのような暮らしをしていたのだろうか。いずれにしろそれは超持続可能社会であったろう。結局答えは我々の中にあるのだ。
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