女性で回るフィンランドの教育現場(北欧シリーズその2)
『地球は女で回っている』-フィンランドとは関係ありませんが、こんな映画のタイトルがありました。このタイトルの「地球」を「フィンランド」に置き換えてもフィンランド人たちにとっては、全く違和感がないと思います。それは特に私が見てきた教育現場に如実に顕れていました。
フィンランドの首都Helsinki(ヘルシンキ)から電車で一時間程度のLahti(ラハティ)という人口10万人程度ですがフィンランド国内では人口が第8位の中規模な都市があります。大きな湖(そもそも地名にもなっているLahti、という単語は「湾」という意味でもあります)と、そのほとりには世界的にも有名な音楽家ジャン・シベリウスの名を冠したシベリウスホールという木を基調とした美しい音楽ホールや、毎年スキージャンプの世界選手権なども開催されるジャンプ台もある、文化もスポーツも盛んな都市です。
私は2007年から2008年の間は、そこの町で日本文化を紹介する教師として、小学校を中心に、幼稚園・中学校・成人学校など幅広い教育現場で1000人近い生徒たちと触れ合いました。通常は、1つの小学校に固定して1年派遣という形なのですが、私の教育係でもあった担当教師の先生のご好意により、市内の5校の小学校にお邪魔させて頂きました。
この5校の小学校のうち、4校の校長先生がなんと女性でした。
いつもメインで通っていたkiveriö(キベリオ)小学校の校長先生は、1歳の娘さんがいました。更に、私の担当教師のサリも女性で、当時彼女は38歳。彼女と初めて会った時のことを今でもよく覚えています。ひとりで日本から片道切符で出発したフィンランド。ヘルシンキに到着して一泊した翌日、日本大使館に寄って申請をした後、ラハティへ15:39着の電車で来れば、コンタクトパーソンのサリという人が迎えに来るから、という情報だけでヘルシンキから列車に乗り込み、初めての町に降り立ったものの、30分待ってもそれらしき人は現れず、しまいには薄暗くなり雨まで降りだしました。1時間経った頃にはいよいよ不安になり、かろうじて控えてあった携帯電話に連絡をしようとしましたが、日本で携帯電話を解約してきてしまった私は公衆電話を探すしかなかったのですが、そこは携帯普及率世界一のフィンランド。皮肉にも駅にもその周りにも公衆電話がありませんでした…。近くにいた見ず知らずのフィンランド人に、お金を払うから携帯電話を使わせてくれと頼んでみても、いきなりアジア人から携帯を貸してくれと言われて本国にかけられたら莫大な通話料がかかってしまうと警戒され、断られてしまいます。途方に暮れていたときに、あなたはアリサ?と話しかけられ、それがサリだとわかった時、私は間違いなく涙目でした。そんな私に謝りながら、3歳の子どもが病気で、保育園に迎えにいった後、病院に連れて行っていたので遅れてしまった、とサリは言いました。子どもは何人いるのかと聞いたら、’six children’ と答えた時には耳を疑いました。38歳で6人子どもがいて、先生をやっている?しかも一番上の子は高校生!?…女性が働きながらここまでのことができてしまう環境ができている、というのも学力世界1位の秘訣だったのです。
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